使用上の注意

全般

  • 温度センサの保護管は測定対象物によっては腐食を起こす可能性があり、温度測定が出来なくなることもありますので、測定対象物に適した保護管の材質の選定が必要になります。
  • 温度センサの保護管へは過度の振動・衝撃・加重がかからないようにして下さい。特に白金測温抵抗体は、セラミックボビンに非常に細い抵抗素線を使用しているので、機械的な衝撃や振動が加わる場所で使用すると断線の恐れがあります。また、保護管部に変形・打痕等発生した場合、セラミック白金素子・薄膜素子が破損する恐れがあります。
  • 絶縁抵抗は測定精度に大きく影響し、絶縁不良は種々のトラブルの原因になりますので乾燥した温度変化の少ない場所で保管して下さい。

リード線

1.熱電対

リード線を延長する際は「補償導線」を必ずご使用下さい。
「補償導線」は熱電対の特性に合ったものをご使用下さい。熱電対の特性があっていない「補償導線」や一般のリード線での延長は、正確な温度測定がされませんので使用しないで下さい。(熱電対にあった補償導線を必ずご使用下さい) 熱電対は「+」、「-」の極性がありますので機器及び中継用コネクタへの接続の際、間違えの無い様に接続して下さい。

2.白金測温抵抗体

リード線を延長する際は使用するリード線は3本とも同抵抗・同じ長さの銅線を使用して下さい。延長することによりリード線自身の抵抗が表示温度に影響しますので、芯線の太いものをご使用下さい。

3.サーミスタ

リード線を延長する際は芯線の太いものを使用して下さい。
極性はありません。

4.共通注意点

リード線を延長する際はノイズの影響を受ける可能性が高くなりますので、リード線の引き回しには十分注意をして下さい。
電源・出力等の線材と一緒に引き回すことは避けて下さい。

正しい使用方法

  1. 温度センサの取り付けは測定対象物の温度分布を変化させない場所を選定し取り付けて下さい。
  2. 温度センサは保護管を測定対象に充分な長さで接触及び挿入させて下さい。金属保護管では保護管径の約20倍、非金属保護管では保護管径の約15倍の長さが必要です。
  3. シース型温度センサの最小許容曲げ半径は保護管径の約5倍で、同一場所での繰り返しの曲げは避けて下さい。急角度に曲げた部分を再度延ばして使用すると、内部で断線や素線のひずみが発生する恐れがあります。又、溶接部では曲げ無い様にして下さい。
  4. 低温を測定中は保護管がもろくなりますので曲げ加工はしないで下さい。
  5. シース型温度センサは、測温部を保護する為にも先端部より熱電対の場合はシース外径の 5 倍、白金測温抵抗体の場合は100mm以内では曲げ加工をしないで下さい。
    先端に近い所で曲げ加工を行いますと温度素子とリード線との接合部で断線する可能性があります。
  6. リード線タイプのものでは、保護管とリード線の接合部は70℃以下、又耐熱用の場合でも100℃以下でご使用下さい。
  7. 端子箱タイプのものでは、80℃以下でご使用下さい。
  8. 高温用熱電対の磁性管タイプ及び白金測温抵抗体の石英ガラス管タイプの保護管は衝撃に弱いので取り扱いには十分注意をして下さい。
  9. 高温用熱電対の磁性管タイプは熱衝撃に弱いので急加熱・急冷却でのご使用は避けて下さい。取り付けにあたっては予熱をするか、時間を掛けて行って下さい。

取付に関する注意点

  1. 耐圧防爆タイプの取り付けは、防爆に関する法規制に従って行って下さい。
  2. シース型温度センサにて保護管長が長いものはコイル状で出荷する場合があります。巻き戻す場合は螺旋状に捻じらず、巻きと逆方法に直線に巻き戻して下さい。
  3. リード線タイプのリード線は、保護管とリード線の接合部の近辺では無理に曲げ無いで下さい。又、保護管とリード線の接合部まで被測温物に挿入しないで下さい。
  4. リード線は強く引っ張らないで下さい。接続部で断線する可能性があります。
  5. 保護管が熱で湾曲するような高温測定時には、温度センサを垂直に挿入するか、適当な保護具を使用して取り付けて下さい。
  6. 温度センサの出力に動力線等からの誘導障害の雑音が発生する場合には、温度センサ及びリード線の取り付け位置を変更するか、又はリード線にシールドを施して下さい。
  7. 常温以下の低温を測定する際は、出力端子から湿度が侵入し保護管内で結露して絶縁不良を起こす場合がありますので、この様な環境下でご使用になる場合は、密閉式の温度センサをご使用下さい。
  8. 保護管とリード線接合部及び端子部に水などの液体がかかる可能性のある場所でのご使用は避けて下さい。
  9. 温度センサは精密機器です。衝撃などを与えない様にしてください。又、磁性管・石英ガラス管等の製品の場合は取り扱いには十分注意をして下さい。
  10. 超音波洗浄機など過度の振動が発生する環境で、セラミック(巻き線)型白金測温抵抗体を使用すると、短時間で断線する場合があります。この様な環境でご使用になる場合は、セラミック(巻き線)型と比較して構造上、耐振動性に優れている薄膜素子又はシース型熱電対をご使用になられますと、振動レベルによってはご使用に耐えうる可能性があります。
  11. 溶解金属の温度を測定する場合、常用限度以下であっても保護管の寿命が著しく短くなります。溶解金属の種類によって適切な保護管材質を選択して下さい。
  12. 流体の温度を測定する場合は、次の方法で温度センサを取りつけて下さい。

  13. 保守点検等の作業時に、足場・支持具に使用されますと、損傷及び断線事故になりますので絶対にしないで下さい。
  14. 挿入長を任意に調節するコンプレッション・フィッティングは、気密性がありませんので、漏出が問題になる場所には使用しないで下さい。
  15. 熱電対の測温接点において、非接地形はシース(保護管)と電気的に絶縁されているため電気的影響を抑えることができますが、接地形は危険箇所・ノイズ・電気的ショックのある場所では使用できません。
  16. 端子台・コネクタへ接続する際は、締め付け不足による接触不良や線材のバリによるショートの可能性がありますので十分注意をして下さい。
  17. 使用する導線は耐熱性に注意をして下さい。配線時に熱源に近づけますと絶縁不良・ショート・断線の可能性があります。
  18. フッソ樹脂被覆温度センサは、耐薬品性には優れていますが時間とともに浸透する可能性があります。

保守・点検について

  1. 測温部分等に付着したスス・異物等は熱の伝達を悪くし、温度誤差の原因となりますので定期的に取り除いて下さい。また、シース(保護管)表面の腐食等の進行状況についても定期的に点検して下さい。
  2. 計器類への接続部分において、端子のゆるみ・腐食等の異常の有無を確認して下さい。
  3. 取付け場所に振動がある場合は、取付けたセンサ本体の固定状態を定期的に確認して下さい。
  4. 種々の原因によりリード線(補償導線)が損傷を受けることがありますので、外観・導通・絶縁を定期的に確認して下さい。

廃棄の際の注意について

使用できなくなった温度センサは、産業廃棄処理物処理業者に処理を委託して下さい。

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